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2025.05.01
Oracle Exadata Exascaleを検証してみた!OCI最新のPaaSサービスの優位性とは?
「Oracle CloudWorld 2024」にて発表された新サービス「Oracle Exadata Database Service on Exascale Infrastructure(以下、ExaDB-XS)」について、前回の記事ではExaDB-XSの特徴とメリットについて紹介しました。
クラウドデータベースの選定において、コストとパフォーマンスは重要なポイントです。
本記事では、ExaDB-XSと標準的なPaaSサービスであるOracle Base Database Service(以下、BaseDB)をコストで比較するのに加え、簡易的なパフォーマンス比較もします。
ExaDB-XSの優位性がどのような点にあるのかを明らかにしていきます。
検証環境
今回、簡易比較検証を実施したBaseDBとExaDB-XSはそれぞれ以下の構成となります。
| |
BaseDB |
ExaDB-XS |
| CPU数 |
8 OCPU(4×2node) |
合計ECPU:48 ECPU
有効ECPU:32 ECPU |
| メモリー容量(GB) |
128(64×2node) |
132(66×2node) |
| VM数 |
2(RAC構成) |
2(RAC構成) |
| DBストレージ |
1024 GB(+DATA領域) |
1024 GB |
-
※「ECPU」は一部のサービスで提供されている新しいCPU単位であり、従来の「OCPU」の1/4に相当します。上記のExaDB-XSのCPU数「48 ECPU」は12 OCPU相当となります。
ExaDB-XSには合計ECPUと有効ECPU、予約済ECPUが存在します。それぞれ単価が異なります。
合計ECPUは、ユーザー側であらかじめ利用を予約しているECPU数のことです。
ExaDB-XSは共有インフラストラクチャであるため、物理的な基盤を他のユーザーと共有しています。そのため、ユーザー側で必要な時に必要なCPU数を利用するために、ECPU数を予約することが可能です。ExaDB-XSのクラスタ全体のメモリ容量(GB)は、この合計ECPU数に紐づいて算出されます。
なお、合計ECPUのスケーリング時には仮想マシンが再起動されますのでご留意ください。
有効ECPUは、実際に仮想マシン上でアクティブなECPU数のことです。
ExaDB-XSを利用しない時は、0にスケーリングして課金を削減することが可能です(有効ECPU数が0の場合は仮想マシン自体が停止しています)。
予約済ECPUは、合計ECPUと有効ECPUの差分のECPU数のことです(合計ECPUと有効ECPUから自動で算出)。
仮想マシン上でアクティブではないため、有効ECPUよりも単価が低く設定されています。
以下の場合には、予約済ECPUの確保の検討を推奨します。
①大きなメモリ容量が必要な場合
仮想マシンのクラスタ全体のメモリ容量は、合計ECPU数に基づいて算出されます。そのため、大きなメモリ容量が必要な場合は、合計ECPUを有効ECPUよりも多く設定します。
②ECPU数のオンラインスケーリングの要件がある場合
合計ECPU数のスケーリング時には、仮想マシンの再起動が発生します。そのため、オンラインスケーリングをする要件がある場合は予約ECPUを確保することで、システムを停止せずにスケーリングをすることができます。
これらのECPUにより、ExaDB-XSはECPU数とメモリ容量を柔軟に選択できるため、OCPU数とメモリ容量が固定であるBaseDBと比べて高い柔軟性があります。
コスト比較
ExaDB-XSとBaseDBを1か月稼働させた場合のコストをCost Estimator(https://www.oracle.com/jp/cloud/costestimator.html
※オラクル社のサイトに移動します)で試算してみました。
試算結果の比較は以下のとおりです。
| |
BaseDB |
ExaDB-XS |
| 1か月あたりの金額(744h) |
1,256,023 円 |
1,409,516 円 |
-
※1 1$=155円で計算(2025年4月時点)
-
※2 CPU数などは上記検証環境のスペックで計算していますが、ExaDB-XSのストレージはBaseDBの+DATA領域と+RECO領域を合算した1536 GBで計算しています。
上記のコスト比較の表から分かるように、1か月稼働し続けた場合のコストは、わずか12%程度の差となりました。ExaDB-XSはExadata基盤で稼働しているので「高額」という印象を持っていた方もいらっしゃるかも知れませんが、BaseDBと比べてわずかなコスト差しかないことが分かります。
簡易比較検証の結果
検証では、ベンチマークツールであるHammerDBを利用し、OLTP系とDWH系それぞれの典型的なワークロードを比較しました。
結果は以下のとおりです。
OLTP系ワークロード
OLTP系のワークロードでは、ExaDB-XSの結果にBaseDBと比べ約20%高い性能差が見られました。
つまり、OLTP系のワークロードではExaDB-XSがBaseDBよりもやや投資対効果が高いことがわかりました。
DWH系ワークロード
データウェアハウス(DWH)系のワークロードでは、ExaDB-XSが圧倒的な優位性を示す結果となりました。
これは前記事でも紹介したExadata固有の機能のSmart Scanが影響しています。
SmartScanは、大量データに対する集計、分析、検索の処理をストレージ側で実行する仕組みです。これにより、I/O量を大幅に削減し、SQLの実行時間を短縮することができます。
この技術は特に以下のようなワークロードで優位性を発揮します。
・大量データの集計・分析処理(DWH系)
・検索条件の絞り込みがあるバッチ処理
・OLAP的な多次元分析クエリ
以上の結果より、DWH分野における、データの集計、分析、検索の処理のワークロードや、オンライントランザクション処理とDWHの混合ワークロード(ミックスワークロード)のシステムにおいて、Exadata固有の機能を利用できるExaDB-XSに圧倒的なメリットがあることがわかりました。
まとめ
今回はExaDB-XSとBaseDBについて、コストと簡易的なパフォーマンスの比較を紹介しました。
ExaDB-XSとBaseDBの比較によりわかったこと:
・コスト面:Exadata基盤を利用しているにも関わらず、わずか12%程度の違いである
・性能面:Exadata固有の機能Smart Scanの効果のより、DWH系の処理においてExaDB-XSが圧倒的に優れている
つまり、ExaDB-XSは既存のPaaSサービスと比べて、柔軟性やコスト面でのメリットが大きく、優れたコストパフォーマンスを持っているといえます。
本記事でExaDB-XSやパフォーマンス比較結果の詳細についてご興味を持たれた際は、当社までお気軽にご相談ください。
今後もOracle Cloudの注目のサービスを紹介します!
執筆者情報
2024年に中途入社。前職では主にOracleのオンプレミス環境の設計構築から運用保守と幅広い業務を経験。
現在はOCIのポストセールス業務を中心に担当。
趣味はパフェ巡り。
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