オラクルの年次イベント「Oracle OpenWorld」が「Oracle CloudWorld」に生まれ変わりました。場所もサンフランシスコからラスベガスに変わり、3年ぶりにオンサイトイベントとして開催されました。
アシストからも4名のOracle Database、Oracle Cloudの技術者が参加し、様々な最新情報をキャッチアップしてきました。Oracle CloudWorld全体の雰囲気とともにお伝えします。
Oracle CloudWorldとは?
オラクル社では、世界中からビジネスイノベーションを推進する人々やオラクル社製品の技術者が一同に会する最大の年次イベントとして「Oracle OpenWorld」を2019年まで開催していました。その後コロナ禍で2020年と2021年の中断を経て、今年「Oracle CloudWorld」と名称が変更され、2022年10月17日から20日に開催されました。
今回の「Oracle CloudWorld 2022」では、約1,300セッション、参加者数は約13,000名超と、以前の「Oracle OpenWorld」に比べると若干規模が縮小されていましたが、それでも私たちからすると、まず会場全体の大きさから圧倒される規模のイベントであり、有名ミュージシャンのライブもあり、パーティもあり、参加者を楽しませるというホスピタリティは素晴らしいものでした。日本からもユーザー企業・パートナー企業が約120名参加し、参加者同士でも様々な情報交換ができる有意義な場所でした。
これまでは、毎回「え!こんなことができるようになるのか!」という新機能の発表がメインでした。今年も多くの新機能の発表があったものの、オラクル社やOracle Cloudが社会の中でどのような役割を果たしていこうとしているのか、Oracle Cloudの存在意義や方向性といった大きなメッセージとOracle Cloudの多くの活用事例が示されていたことが印象的でした。
ラリー・エリソン氏の基調講演
オラクル社CTOであり、オラクルを語るには欠かせないラリー・エリソン氏の今年の基調講演のトピックは以下の2つでした。
- クラウドサービスのマルチクラウド化
- 医療領域への注力
エリソン氏は「今、ほとんどの顧客は2つ以上のクラウドサービスを利用している。それは彼らのビジネスに必要なことだからだ」とし、Oracle Cloudもオラクルの持つ先進的な技術をOracle Cloudに注ぎ込み、それを様々なクラウドで使えるようにする、というメッセージを繰り返し伝えていました。
実際に、Microsoft Azureとの相互接続サービスや連携サービスは多くのリージョンで提供され始めています。今後はAmazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud Platform(GCP)との相互接続・連携を強化していく、と発表されていました。
次に、オラクル社としての医療領域への注力について、かなり熱く発表されていたのが、個人的には少し意外でもありました。今までこうした特定の産業領域への注力がエリソン氏から発表されることはあまりなかったと記憶しています。世界的なパンデミックを経験し、その中でオラクル社も企業として意味のある貢献をしたいという方向性の現れかなと感じました。
Oracle Cloud関連 注目の発表
次に、エグゼクティブ・バイス・プレジデントでありOracle Cloud Infrastructureの開発責任者であるClay Magouryk氏の基調講演、および数々の技術セッションでの発表とあわせて、Oracle Cloud関連のトピックをご紹介します。
マルチクラウド/分散クラウドに進化
Oracle Cloudに関して注目すべき発表の1つ目は、ラリー・エリソン氏の発表にもありましたが、マルチクラウドの推進です。
まとめると以下のような発表でした。
- Oracleは分散型クラウドの実現を目指す
- マルチクラウド:OCI⇔AWS、OCI⇔Azureを相互にシームレスに低レイテンシで利用できる
- ハイブリッドクラウド:オンプレ/クラウドで同じサービスが利用できる(ExaDB-C@C等)
- パブリッククラウド:リージョンのさらなる増強により、世界中どこでも利用できる
- 専用クラウド:Dedicated Region(特定顧客専用クラウド)、Oracle Alloy(後述)
- マルチクラウドの現状
- MySQL HeatWave on AWSを皮切りに、AWSとシームレスに接続することを目指す
- AzureとはAzure-OCI InterconnectやOracle Database Service for Azure(ODSA)で一体化が進んでいる
この発表を聞きながら、手前味噌ではありますが、Oracle CloudとAWSを両方同じレベルで熟知し、お客様からのご相談にもお応えできるアシストは、少なくとも国内ではユニークな存在であり、マルチクラウドを利用されるお客様の課題に寄り添い、期待を超える提案や支援を提供できるようになる、との思いを強くしました。
いつでもどこでもあらゆるワークロードで使えるクラウドに進化
Clay Magouryk氏の基調講演でもうひとつ注目すべきサービスがありました。それがプライベートクラウドの新しい形「Oracle Alloy」です。
現在Oracle Cloudでは、パブリッククラウドサービスとしてのOracle Cloud Infrastructureだけでなく、お客様専用のプライベートクラウド基盤として「Oracle Cloud Infrastructure Dedicated Region(OCI Dedicated Region)」を提供しており、これは基盤部分の運用はリモートでオラクル社が行うものです。その運用の部分も自社で行いたい、という声に応える形で発表されたのがこの「Oracle Alloy」です。
SIerやサービスプロバイダは自社でカスタマイズしたクラウドを構築し、自社ブランドのクラウドとして運用、サービス提供する、ということが可能になります。
このOracle Alloyの実際の提供はまだこれからですが、Oracle Alloyを活用することで、OCIがパブリッククラウドで提供しているクラウドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)や、SIerやサービスプロバイダが開発したソフトウェア/サービスがエンドユーザーに提供できるようになります。
より堅牢かつシンプルなインフラストラクチャに進化
現状すでに提供されているOracle Cloud Infrastructureも、より堅牢かつシンプルで使いやすい基盤に強化されていきます。今回発表されたのは以下のような内容です。
- より柔軟に選べる環境
- より柔軟にComputeとストレージを選択可能、VMの無制限バースティングも提供
- より使いやすく
- 様々なComputeタイプが提供され、開発や運用を容易にするレコメンデーションや可視性を強化
- よりセキュア
- Comfidential Computing(メモリの内容も含めて暗号化する機能)
- OCI Network Firewall
- より高速に
- NVIDIAとの協業が強化され、より高速なCPUとより高速なネットワークを提供
その他注目のサービス
Oracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Service
バックアップとより高速なリカバリを実現するサービスとなります。自律型データベースのノウハウを活用して構築されたサービスであり、バックアップ/リカバリのオペレーションの簡素化/効率化が可能になります。
Zero Data Loss Recovery Applianceというバックアップ専用アプライアンスがありますが、それがサービスとしてOracle Database 23cに搭載されるとのことです。
ランサムウェア対策にも非常に有効だと思いますし、楽しみなサービスです。
Oracle Full Stack Disaster Recovery Service
これはOCI専用のサービスであり、アプリケーションスタック全体のDRを実現するものです。
実際の災害時や障害時には、データベースの復旧だけでなく、アプリケーションスタック全体を同期を崩さずに普及することが非常に困難でしたが、このスタック全体でのDRを実現するサービスは、利用者が待ち望んでいたいたものと言えるでしょう。
まとめ
4日間の慌ただしい参加ではありましたが、その中でもラスベガスの雰囲気や、何と言っても世界中からオラクル製品に期待する人々が集まり、ワクワクしながら楽しんでいる姿に刺激を受けました。
今日ご紹介した機能は、すでに提供されているものもありますが、「提供予定」のものもあります。
アシストでは、新機能が実際に提供され次第、日本のお客様に有用な機能から検証し、具体的にご紹介してまいりますので、ぜひご期待ください。
執筆者情報
2015年にアシストに入社後、Oracle DatabaseやOracle Cloudを中心としたフィールド技術を担当。
導入支援だけではなく、最新機能の技術検証も積極的に実施。社内外のイベントにて発表も行っている。...show more