2024年5月のアップデートで、Computeインスタンスを再作成せずにブートボリュームをリストアできるように、ブートボリューム置き換えの機能が追加されました。
これにより、従来のリストア方法よりも手順が少なくなり、障害発生時にも迅速な復旧が可能になりました。
本記事では、従来のリストア手順との違いやブートボリューム置き換えの具体的な手順をご紹介します。
従来のリストア手順との違い
以下の表は、従来のリストア手順とブートボリューム置き換え手順での必要ステップを比較したものです。どちらもプライベートIPアドレスやパブリックIPアドレスが既存インスタンスと同じ値になるようにします。
| No. |
ステップ |
Computeインスタンス
再作成 |
ブートボリューム
置き換え |
| 1. |
ブートボリュームバックアップ取得 |
必要
|
必要
|
| 2. |
ブートボリュームバックアップのリストア
(ブートボリュームのバックアップからブートボリュームを作成) |
必要
|
必要
|
| 3. |
既存インスタンスのブートボリュームの置き換え |
不要 |
必要
|
| 4. |
既存のComputeインスタンスの終了(削除) |
必要
|
不要 |
| 5. |
新規Computeインスタンスの作成 |
必要
|
不要 |
| 6. |
同一プライベートIPアドレスの割り当て |
必要
※以下いずれかを実施
・新規Computeインスタンス作成時に同一プライベートIPアドレスを指定する。
・セカンダリプライベートIPアドレスに既存インスタンスのプライベートIPを割り当てる。 |
不要 |
| 7. |
同一パブリックIPアドレスの割り当て |
必要
※既存のComputeインスタンスで予約済IPアドレスを使用していた場合のみ可能。 |
不要 |
上記の表で分かるとおり、ブートボリューム置き換えの場合、既存Computeインスタンス再作成の作業や同一IPアドレス使用のための作業が不要となるため、手順が大きく簡略化されます。
ブートボリューム置き換え手順
このようにメリットの大きいブートボリューム置き換えの機能について、ここから具体的な方法をご紹介します。
- ・前提とする構成
-
- Oracle Cloud Infrastructure Compute
-
- Oracle Linux 8
- ・ブートボリュームの置き換えの手順
-
1)ブートボリュームのバックアップを取得する。
-
2)ブートボリュームのバックアップをリストアする。
-
3)既存インスタンスに対してブートボリュームの置き換えを行う。 ブートボリュームの置き換えを行うときに、手順 2)でリストアしたブートボリュームを指定する。
1)ブートボリュームのバックアップを取得
OCIコンソールから、既存インスタンスにアタッチされているブートボリュームのバックアップを取得します。
※障害復旧を目的としてブートボリュームの置き換えを行う場合は、事前に取得している正常時のバックアップを使用するため、本手順をスキップして次の手順に進みます。
OCIコンソールのメニューから、「コンピュート > インスタンス」でインスタンスの一覧を表示し、既存インスタンスを選択します。
“リソース”から「ブート・ボリューム」を選択し、アタッチされているブートボリュームを選択します。
“リソース”から「ブート・ボリューム・バックアップ」を選択し、「ブート・ボリュームのバックアップの作成」をクリックします。
「名前」に任意の値を入力し、「バックアップ・タイプ」で「完全バックアップ」か「増分バックアップ」のどちらかを選択(本記事では「完全バックアップ」を選択)し、「ブート・ボリュームのバックアップの作成」をクリックします。
2)ブートボリュームのバックアップをリストア
OCIコンソールから、ブートボリュームのバックアップをリストアします。
OCIコンソールのブートボリュームバックアップのページで、「ブート・ボリュームのリストア」をクリックします。
「名前」に任意の値を入力し、「ブート・ボリュームのリストア」をクリックします。
3)既存インスタンスに対してブートボリュームの置き換え
OCIコンソールのメニューから、「コンピュート > インスタンス」でインスタンスの一覧を表示し、既存インスタンスを選択します。
既存インスタンスのページで、「その他のアクション」から「ブート・ボリュームの置換え」をクリックします。
各項目を選択し、「保存」をクリックします。
・「ブート・ボリュームを保持」の有効/無効を選択
・「置換」で「ブート・ボリューム」を選択
・「ブート・ボリュームの適用方法」で「リストから選択」を選択
・「ブート・ボリュームの選択」で事前にバックアップからリストアしたブートボリュームを選択
※「ブート・ボリュームを保持」を有効にした場合、ブートボリュームの置き換えが完了しても既存のブートボリュームを保持します。
※「ブート・ボリュームを保持」を無効にした場合、ブートボリュームの置き換えが完了したときに既存のブートボリュームを終了(削除)します。
本記事執筆にあたり弊社でテストを実施した際は、数分程度で完了しました。
ブートボリューム置き換えの補足事項
ブートボリューム置き換えの主な制限事項
記事執筆時点(2024年8月)では、ブートボリュームの置き換えには主に以下の制限事項があります。
・サポートされているのはLinux系OSとそのイメージのみであり、Windows OSやマーケットプレイスのイメージはサポートされていません。
・置き換え可能なのは同じLinuxディストリビューションを使用するブロックボリュームおよびイメージのみのため、例えばOracle LinuxからUbuntuに変更することはできません。
その他、詳細についてはこちらのマニュアル(オラクル社のサイトに移動します)で確認できます。
ブートボリューム置き換え時にインスタンスが再起動される
ブートボリュームの置き換えのときに、インスタンスが自動で再起動されます。
そのため、インスタンスに接続中のSSH接続などは切断されることに注意してください。
ブートボリューム置き換えが失敗した場合はロールバックされる
ブートボリュームの置き換え時に何らかの問題が発生した場合は、OCIが自動的に元の状態へのロールバックを試みます。
本記事ではリストアしたブートボリュームを指定して置き換えを行っています。
イメージを使用して置き換えを行った場合は、生成された新しいブートボリュームがロールバックにより自動削除されるなど、ブートボリュームの置き換えを行うにあたって選択した項目によってロールバックの動作が一部異なることに注意してください。
詳細についてはこちらのマニュアル(オラクル社のサイトに移動します)で確認できます。
まとめ
本記事ではインスタンスを再作成せずにブートボリュームをリストアする、ブートボリュームの置き換え機能という新機能をご紹介しました。
万が一の障害に備えるために、本記事がお役に立てれば幸いです。
執筆者情報
2008年度アシストに入社後、Oracle WebLogic ServerやOracle HTTP Serverを中心にサポートエンジニアとして活動しており、これまでに4,000件以上の問い合わせを対応。